イメージ:Kitchen 313 Kamiyuge 瀬戸内海に浮かぶ小さな島のベーカリー・カフェ

313のこと

ずっと昔から受け継がれてきた想いや、いまを生きるたくさんの人たちの愛があつまって、Kitchen 313 Kamiyugeは細い路地のなかに佇んでいます。少し長いですが、ご興味あればお店のストーリーを知っていただけると幸いです。

建物のこと

母家や蔵、門塀が「上弓削田坂家住宅」として登録有形文化財に指定されています。大正6年の建築で、母家の柱や梁には希少な栂(つが)が使われており、昔の大工さんたちの丁寧な仕事を見ることができます。2015年ごろから計4期にわたりリノベーションを進めてきました。その第1期で蔵を工房にし、お店としてオープンしています。これらの建物はわたしの亡き父が遺してくれたもの。わたしは小さいころ、父母と夏休みや正月休みに神戸から帰り、空き家だったこの家を掃除して過ごすのが習慣でした。そのように代々ずっと世話してきてくれていたからこそ、100年以上もしっかりと残っているのだと思います。

イメージ:建物のこと

店名のこと

このお店の名前を「Kitchen 313 Kamiyuge」と名付けた理由。当初パンではなく、友達のリクエストでケーキや、時にはお弁当をつくっていました。ベーカリーカフェといういまの形になってからもKitchenという名前を残しているのは、提供するものが何であっても食べ物で幸せになれる場所でありたいと思うからです。それから313 Kamiyuge。これはうちの住所です。父が遺してくれたこの場所にわたしたち家族が移り住み暮らしはじめたとき、「他のどこでもなく、ここで地に足をつけて歩んでいきたい」──そのように決心した時の気持ちを、番地である「313」に込めています。

イメージ:店名のこと

わたしのこと

わたしは感性で生きていて、計画を立てて行動するよりインスピレーションを大切にしています。お店に並ぶ商品は定番のものもありますが、サンドやピザ、マフィンなどは手元にある食材を使い、その日の朝にピンときたレシピでつくります。そのようなわけで、お客さまにもわたしがつくるその日だけの一期一会を楽しんでもらえたらと思っています。それから、わたしは食べることがなによりも好きです。それは母が丁寧にごはんをつくり、食べさせてくれてきたからだと思うのです。

イメージ:わたしのこと

ベーグルのこと

わたしがベーグルを焼きはじめたのは、島でできた友人・るなさんの「ベーグルが食べたい!」というひとことがきっかけでした。るなさんをはじめ、たくさんの人がわたしの焼くベーグルを喜んでくれました。それが、いまわたしがベーグルを焼いている理由です。ベーグルはいまのわたしにとって、いろんな人にやさしさを伝えられる媒体のようなもの。なので、もしかしたら10年後はまた違うなにかをみなさんに手渡しているのかもしれません。

イメージ:ベーグルのこと

器のこと

313で使っている器はほとんどが向島東製陶所・惠谷幸史さんの作品です。ベーグルサンドなどをお出しする白い平角皿は特にリクエストしてつくったもの。惠谷さんいわく、このお皿は成形が難しく「もうやりたくない」とのことで、大切に使っています。それから、珈琲やカフェオレを淹れる器も特別です。母家をリノベーションする際に崩した土壁の土を使って惠谷さんに焼いてもらったものです。その土は100年前に左官さん(壁を塗る職人さん)が汗を流して塗ったもの。捨ててしまうのは忍びなかったのです。生まれ変わった器を「100年の器」と名付けました。店頭でもお求めいただけます。

イメージ:器のこと